自由を追求する「クリエイティブ・クラス」
2007年12月20日
以前、「クリエイティブ・クラスの世紀」についてエントリーしたけれど、予期しないところで、その重要さについて語った文章に出会った。
「自由」を焦点に戦後日本社会を追った橋本努著『自由に生きるとはどういうことか』。この最終章「21世紀の自由論」として、「クリエイティブ・クラス」が紹介されている。

「現代のアメリカでは、「創造階級」という新しい階級が話題になっている。「創造階級(クリエイティブ・クラス)」とは、「創造的な仕事に就いている人々」のことであり、具体的には、科学技術、建築、デザイン、教育、アート、エンタテイメントなどの仕事に従事している人々を指している。そして実際、アメリカにおける「創造階級」は、資本主義を突き動かしている大きな動因となっている。おそらく日本でも、アメリカの創造階級の生活は、これから理想視されていくであろう。……もっとも「創造階級」をいかに定義するかという問題は、かなり難しい事柄で、たとえば散髪屋を「創造階級」に含めてよいか、といった問題がある。……ただ興味深いことに、アメリカでは時を同じくして、「創造階級」と類似の用語が次々と現れている。たとえば、デイビッド・ブルックスのいう「ボボス」(2000年)や、P.H.レイ+S.R.アンダーソンのいう「文化創造者」(2000年)、あるいは、日本でも話題となった「ロハス」(2000年)といった用語である。……
こうした新しい用語がとらえようとしているのは、90年代以降に台頭してきた、新しい成功者たちのライフスタイルである。アメリカでは、新しい成功者たち、もはやこれまでの成功者たちとは異なり、きらびやかな顕示的消費を志向していない。むしろ彼らは、エコロジーの実践や、ハイ・カルチャーの受容、あるいは、脳と身体を鍛えるためのトレーニングといった、独自の生活実践(ライフスタイル)を切り開こうとしている。……
従来、近代資本主義の動因といえば、「プロテスタント的な勤勉・勤労の精神(エートス=恒常的な情熱)」が指摘されてきた。……けれども、現代の経済社会を突き動かす動因は、「勤労のエートス」から
「創造のエートス」へと大きく変容しつつあるようだ。高度経済成長期の日本人は、「勤勉に働くこと」が「自由社会の基礎」になると考えた。これに対して現代の日本人は、「自由社会の発展にために」あるいは「自由そのものの実現」のために、創造的に活動することを求めている。
このあと展開は、格差社会へと向かうのだが、このマーケティング用語ともいえる「クリエイティブ・クラス」が、現代社会の一面を的確に現しているのは確かだと思う。「web2.0」のように、その言葉が一般化していく過程で、ある種の誤解を含みながら、その言葉がエンジンとなって、さらに大きな転換をもたらすキーワードというのが時にあるけれど、この「クリエイティブ・クラス」も、徐々にそうした役割を担いそうな気がするがどうだろう・・。(江坂健)
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