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『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』“プラピの老け顔”をCG合成、メイキング動画も

2009年2月 5日

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© 2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved.


ベンジャミン・バトンは生まれたとき、サイズこそ乳児と同じだったが、全身しわだらけで80歳の老人のような体だった。さらに奇妙なことに、年を取るごとに若返っていくのだった……。

F・スコット・フィッツジェラルドが1921年に書いた短編小説のこうしたプロットを基に、ロビン・スウィコード(映画版原案)とエリック・ロス(脚本/映画版原案)が大幅に改変、さまざまなエピソードを追加し、現代的な物語に仕上げた。なお、フィッツジェラルドの原作はすでに著作権が切れているのでオンラインで入手でき、たとえば『manybooks.net』ではPDFやRTFなど各種のファイル形式でダウンロードできる。

原作と映画版のベンジャミンを比較すると、まず原作では生まれた直後から大人並みの知能がある(父親に皮肉を言ったりする)のに対し、映画版では身体だけが若返り、精神は普通に成長とともに発達する設定になっている。また、原作では従軍して活躍する(戦争に対してベンジャミンは割と肯定的)ほか、愛する女性と結婚したものの後に妻を顧みなくなるのに対し、映画版では純愛に生きる男性として描かれ、(冒頭の「逆行する時計」のエピソードなどで)反戦的なメッセージが込められるなど、現代的なアレンジが加わった。とはいえ、全体に漂う疎外感と喪失感はどちらにも共通している。

エリック・ロスは『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994年)で脚色を担当してアカデミー脚色賞を受賞しており、「夢よもう一度」というわけでもないだろうが、今作の脚本にも『フォレスト・ガンプ』の影響が感じられる。常人と違う“異質な存在”がさまざまな人々と出会い、主人公が触媒となって周囲の人の人生にも変化をもたらすエピソードの積み重ねや、現在からの回想という形式を取りつつ現在でもドラマが進行するという構成などが共通点として挙げられるだろう。ただ、『ベンジャミン~』ではこの現在パートがやや冗長な感じがし(上映時間2時間47分!)、ここをもう少しコンパクトに整理できていれば、と惜しまれる。

さて、本作の目玉の一つは、老人メイクしたブラッド・ピットの顔を別の小柄な俳優の頭部にCGで合成した、最新の視覚効果技術だろう(今月下旬に発表されるアカデミー賞でも、メイクアップ賞、視覚効果賞を含む計13部門にノミネートされている)。従来であればDVDやBDの映像特典になりそうなメイキング動画が、アカデミー会員向けのアピール(参考)という意図もあり、早くもテレビ番組やウェブに提供されている。

また、『Wired Magazine』にも、この視覚効果の手順を概説した記事があった。これらを簡単にまとめると、俳優の顔に燐光性のパウダーを塗り、フレームに組み込まれた多数のデジタルカメラと蛍光フラッシュで俳優を撮影し、さまざまな表情を3Dマッピングしてデータ化。これを実写撮影した別の俳優の顔にデジタル合成で貼りつける、という流れだ。視覚効果を担当したのは米Digital Domain社

本編を観るとかなり自然に合成されていて、一部で顔のパーツのサイズと頭の大きさに違和感があるところもあったが、実写とCGのつなぎ目はほとんどわからず、頭の動きに追随する表情の変化なども完璧だった。ぜひ劇場の大画面で確認してほしいと思う。

また、ヒロインのケイト・ブランシェットも熱演で、特にバレエのシーンでは速いターンなど一部でスタンドインが代わったほかは自分で実際に踊り(参考)、見事なダンスを披露している。


『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』
2009年2月7日(土)公開
2008年アメリカ映画
原題:THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON
原作:F・スコット・フィッツジェラルド
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、ティルダ・スウィントンほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

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プロフィール

1964年生まれ。翻訳者、ライター。訳書に「熱帯アジアの海の生物」「Family Crests of Japan」、注釈協力に宮沢章夫著「『資本論』も読む」ほか。数年前からホームシアターにはまり、仕事場兼用の六畳間に100インチスクリーンとプロジェクター、7.1chサラウンドスピーカーなどを無理矢理入れて、映画や音楽、サッカーを日々楽しむ。

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