高森郁哉の「ArtとTechの明日が見たい」

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U2のコンサートを3D映画で体感:『U23D』レビュー

2009年3月 4日

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(c)National Geographic

世界初のデジタル3Dライブ・ドキュメンタリー映画『U23D』。米国では2008年1月に公開されて以来、1年以上経った現在も上映が続く超ロングランヒットの作品だ。日本の劇場で鑑賞できる日を待ち望んでいたU2のファンも多いと思うが、いよいよ3月7日から全国約30館規模でのロードショーとなる。

コンサートの収録は、2006年の『ヴァーティゴ・ツアー』のうち中南米4ヵ国とオーストラリアの公演で行なわれた。収録曲は全14曲(エンドロールで流れるアコースティックバージョンの『Yahweh』を含む)。特筆すべきは、クローズアップ映像のために、公演前夜の聴衆のいないステージでメンバーが10曲を演奏し、それが撮影されたことだ。照明などの効果も本番通りに使っており、巧みな編集によってコンサート映像と観客なしの別撮り映像が違和感なくつながっている。

3D映像の収録には、米3ality(three-ality)社が新開発した『3ality Digital 3D』カメラ・システムが使用された。上映には『Dolby 3D Digital Cinema』が使われており、偏光フィルターの3Dメガネを着用して鑑賞する。

実際に観ると、被写体深度の深い、手前から奥までフォーカスの合った3D映像に進歩が感じられ、各メンバーがカメラから異なる距離にいて動きもまちまちなロックバンドのステージの収録に適していると思った。ライブ映像でよくある、別アングルのショットの二重露出では、特にこの被写体深度の深さが活きていて、それぞれのアングルの人物が立体感を保ちつつ奥まですっきりと見通せる感じは、これまで観た劇映画の3D映像ではなかった体験だった。

アクションやホラーの3D映画のように、不意に何かが飛び出して観客を驚かせる演出はさすがにないが、左のYouTube動画(National Geographic提供)を見ると想像できるように、メッセージのタイポグラフィーやグラフィックアートが立体感を持って前面にせり出してきたり、エンドロールでワイヤーフレーム風のアートが3Dで動くなど、工夫された演出が楽しめる。

映像面に比べると目立たないが、サウンド処理も細やかな配慮がなされている。たとえば『Sunday Bloody Sunday』では、バックの演奏が静かになりボーカルのボノにカメラが寄るシーンがあるのだが、ここでボーカルの空間系エフェクトがオフになり生声に近い音になって、3D映像の効果とあいまってまさに目の前でボノが歌っているかのような感覚がもたらされるのだ。

長いキャリアを誇るU2だけあって、セットリストはヒット曲集のような豪華さで、コアなU2マニアからライトな音楽ファンまで幅広い層が楽しめるだろうし、最新の映像技術に興味がある人にも、3D映像技術の進歩と演出の工夫をチェックする作品としてお薦めだ。


『U23D』 3/7新宿バルト9他全国ロードショー
監督:キャサリン・オーウェンズ、マーク・ペリントン
製作総指揮:サンフォード・R・クライマン
3Dデジタル映像プロデューサー:スティーブ・シュクラー
2008年度作品/アメリカ映画/1時間25分/デジタル3D作品
ナショナル・ジオグラフィック 3ality Digital提供
配給:ナショナル・ジオグラフィック・エンターテイメント/さらい
公式サイト

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(c)National Geographic


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プロフィール

1964年生まれ。翻訳者、ライター。訳書に「熱帯アジアの海の生物」「Family Crests of Japan」、注釈協力に宮沢章夫著「『資本論』も読む」ほか。数年前からホームシアターにはまり、仕事場兼用の六畳間に100インチスクリーンとプロジェクター、7.1chサラウンドスピーカーなどを無理矢理入れて、映画や音楽、サッカーを日々楽しむ。

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