竹田茂の「構成的アプローチ」

コミュニケーションデザインのための断片的試論

リンクに意味を持たせる

2008年5月19日

街を歩いているとたくさんの楽しそうなカップルを見かける。これらはすべて「リンクしている状態」であると言って問題ないと思うのだが、よく見ると、リンクの仕方もカップルによって様々だ。手をつないでいるカップル、腕を組んでいるカップル、腰に手を回しているカップル、さらに、物理的には接触をしていないが明らかにリンクしていると判別されるカップル等々。。

人間のリンク状態がこのように多様なのに対して、ネットのリンクはなんだかとても貧弱だ。基本的にはa href="で始まる記述しかなく、クリックというアクションに対して、単純にジャンプするしかない。手をつないでるだけの若いリンク、腕を組んでいるかなり濃密なリンク、腰に手を回している暑苦しいリンク、一定の距離内に接近したときは接続したと見なすリンクなどがあってもよい。そのアクションに対してどういう動作を結びつければいいのかよくわからないが。。。

要するにリンクの記述がもっと高度化して、リンクが多様化しても良い。ひとつはリンク自身にある種の意味や論理を埋め込むという方向で、これはW3Cなどでも議論されているセマンティックWebを実現していくときの重要な基本技術として発展していくものになるだろう。数十種類の論理を持ったリンクをどのように実装するのかというインタフェースがまだ見えていないという課題があるが、なんらかの形で解決されていくであろう。

そしてもうひとつのリンクの方向としてあるのは、我々ワイアードビジョン自身が実施している「翻訳」のような行為である。これは言ってみれば「米国ワイアードの記者と日本の読者をどういう形でリンクさせたら効果的か」をかなりの量の日本語を使用して実現しているものだ。感覚的にはイメージしにくいかもしれないが、一本の翻訳記事全体を一種のリンクタグとみなすことができる。言語が違う以上、そこにはかならず意味の変換が行われ、翻訳者の意図と原作者の意図が絡み合うため、とても高度なリンクを生成しているということになる。そういう意味ではワイアードビジョンの記事はリンクタグの塊なのである。

そんなわけで、WIRED NEWS 原文(English)もぜひご活用いただきたい。

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プロフィール

日経BP社でのインターネット事業開発を経て、04年にスタイルを設立、Webコンサルティング業務に携わる。07年4月、ワイアードビジョン代表取締役に就任。

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