Wired Science

深宇宙からDNAまで、最新の科学ニュースについて紹介する。

『バイアグラ』の強敵はブラジルの毒グモ

2007年5月28日


Steven Edwards

Phoneut

ブラジルは蝋の輸出で有名だが、近いうちにそれ以上のものを輸出するかもしれない。それは、ブラジルの毒グモが持つ毒だ。このクモに咬まれると、勃起不全(ED)治療薬の『VIAGRA』『CIALIS』『LEVITRA』をしのぐ勃起効果がみられるという。そう、とても効果的だ。ただし痛みも伴う。

以下は自然界のバイアグラ:勃起を引き起こす毒グモ(LiveScience)からの引用。

ブラジルでは、担ぎこまれてきた患者が徘徊性毒グモ(ブラジルドクシボグモ:Phoneutria nigriventer)に咬まれたのかどうかは、救急治療室のスタッフならすぐにわかる。患者は全身の痛みに苦しみ、血圧も上昇するが、それだけでなく、なんとも間の悪い勃起状態になっている。

「勃起は、ブラジルドクシボグモに咬まれた人に必ず起こる副作用で、痛みと不快感を伴う」と、ジョージア医科大学研究チームのメンバーRomulo Leite氏は言う。「われわれは、いずれこの毒から本物のED治療薬を開発したいと考えている」

Leite氏らは、このクモの毒を個々の成分に分解した。その後、勃起の原因である『Tx2-6』という短いアミノ酸配列を見つけるまで、1つ1つの成分をネズミのペニスに注射するという、何とも情けない実験を繰り返し行なわなければならなかった。このアミノ酸配列は、ペニスの充血する部分(海綿体)に集まる血液中の一酸化窒素を増加させる働きをするものだ。

勃起の科学的根拠を考える上で、一酸化窒素が重要なことは明らかだ。脳が身体に性的刺激を感じると、ある種のニューロンが一酸化窒素を作り出し、勃起しはじめるようにというメッセージを身体に伝える。その結果、生化学反応が次々と起こり、その過程で『サイクリックGMP』(cGMP)と呼ばれる酵素が作られる。この酵素がペニスの1対の陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させるため、血液が一気に流れ込んでたまり、ペニスが勃起できるようになるのだ(勃起した人間のペニスは、勃起していない状態と比べて10倍以上の血液を溜め込むことができる)。

「この一連の現象によって血管の拡張がペニス全体で起こり、これら(陰茎海綿体の平滑筋)の弛緩が起こる」と、Leite氏は『LiveScience.com』の取材に対して語った。「血液が流れ込めるようにするには、血管が弛緩する必要があるのだ。それによって、血液がペニスの中に封じ込められるため、勃起が起こるというわけだ」

VIAGRAやCIALIS、LEVITRAはどれもTx2-6とは違い、cGMPのレベルを上げるのではなく『ホスホジエステラーゼ5』(PDE-5)という酵素のはたらきを抑制することによって機能する。PDE-5はcGMPを分解してしまうため、勃起状態を抑制する作用があるのだ。

それにしても、これは女性にも効果があるのだろうか。

[日本語版:ガリレオ-佐藤 卓/小林理子]

WIRED NEWS 原文(English)

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