Wired Science

深宇宙からDNAまで、最新の科学ニュースについて紹介する。

生物の進化「形の変化」編(2)胚操作でウズラにアヒルの嘴が

2009年1月 9日

Brandon Keim

(1)から続く

魚とヒトをつなぐ骨

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Image: Wolfson Institute for Biomedical Research / Nature

神経冠(神経堤)は、脊椎動物の胚に過渡的に存在し、神経管が形成される時期に、神経管と表皮の間に位置する組織の名称だ(この神経管は、後に脳や脊髄に分化する)。神経冠からは、自律神経系の神経細胞や、骨格の一部、腱や平滑筋、軟骨細胞、骨細胞などが分化する。

化石記録では胚がほとんど残されていないため、発生過程のこうした非常に重要な段階について直接的な洞察を得ることは困難だ。しかし、発生過程にある胚の細胞を追跡する技術を利用することで、ついに神経冠の発達の観察が可能になった。

最終的には、神経冠によって体の前部に頭部がつながり、中胚葉に由来する細胞によって体幹筋と首や肩の骨が結びつけられる。こうして得られた知見に基づき、筋の結びつきを手がかりにして、いろいろな種に共通する進化の歴史を解読することができる。たとえば、魚に見られる擬鎖骨(cleithrum)と呼ばれる骨は、ヒトの場合、肩甲骨として残っている。

[アヒルの胚から嘴を発達させると思われる神経冠細胞を取り出し、ウズラのそれと交換することで、両者の嘴を交換させることに成功した2003年の研究についての日本語版過去記事はこちら。「神経冠細胞は、それぞれの種に固有の嘴を形成するプログラムの情報を運んでいる」という]

歯の発生と進化

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Image: Kathryn Kavanagh / Nature

ヘルシンキ大学の進化生物学者Kathryn Kavanagh氏は2007年、発生の過程で臼歯が前から後へと順に現れ、後になるほど先行する歯よりも小さいことを明らかにした。

勉強熱心な歯科医にしか役に立たない知識だろうか? 決してそんなことはない。Kavanagh氏のモデルは、異なる食物を摂取する齧歯類の歯列の発生パターンを予測できた。このことは、発生過程の細かい観察結果から、進化の方向をうまく予測できるということを示している。

[日本語版:ガリレオ-向井朋子/福岡洋一]

WIRED NEWS 原文(English)

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