山路達也の「エコ技術研究者に訊く」

地球と我々の未来の行方を左右するかもしれない、環境系技術研究の現場を訪ねる。

ボタンを押す振動で動作する「電池レスリモコン」(1)

2009年12月25日

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「環境」は、小型機器の分野でもセールスポイントになってきた。こうした中、音力発電とNECエレクトロニクスが開発したのは、電池を使わないリモコン。ボタンを押した時の振動で発電し、それで信号送信の電力をまかなうという。振動力による発電デバイスを開発した音力発電 代表取締役の速水浩平氏、リモコンの電源制御回路とマイコンチップを開発したNECエレクトロニクスの塚本宏和氏、郡司高久氏にお話をうかがった。

人が歩く振動で照明の電力をまかなう発電床

発電床の上で軽く足踏みすると、多数のLEDが一斉に点灯する。

──音力発電とNECエレクトロニクスは、「電池レスリモコン」を共同開発したそうですね。これはどういう仕組みなのでしょうか?

速水:音力発電では、「振力電池」を開発しています。これは振動を電気に変える技術で、振力電池を床に入れれば発電床に、鞄なら発電鞄、そしてリモコンに入れれば電池レスリモコンになるというわけです。リモコンのボタンを押した振動を電気に変え、無線信号を飛ばします。

振力電池は、ピエゾ素子の圧電効果を利用しています。ピエゾ素子は電圧を掛けると変形する性質を持っており、これを利用した製品としてはインクジェットプリンターや圧電スピーカーなどがあります。面白いことに、ピエゾ素子は圧力を掛けて変形させると、逆に電気を取り出すことができるのです。身近なところでいうと、100円ライターやガスコンロを点火する時に火花が散りますよね。あれはピエゾ素子をバネで叩き、電気を取り出しています。振力電池が利用しているのもこの原理です。

──振動を利用した発電の研究はどういう経緯で始まったのでしょう?

速水:小学校の頃、理科の授業中にモーターと電池の関係を教わりました。電池でモーターが回りますが、逆にモーターを手で回してやれば電気が発生します。同じことが、スピーカーでも成り立つのではないかと思ったのです。電気を使ってスピーカーを鳴らせるなら、音をマイクで取り込んで発電できるのではないか。そう思ったのがきっかけですね。

このアイデアを小中高と温め、大学2年生の時から本格的に「音力発電」研究に取り組み始めました。ただ、音のエネルギー量は小さなものです。そこで、よりエネルギーの大きな、音以外の振動についても同時に研究を行っています。先に実用化されるのは、この振動力発電の方でしょう。

振力電池では、内部の振動板を工夫することで、圧力が直接加わっていないところにも振動が伝わって発電できるようにしています。

──これが発電床ですか。(発電床の上で足踏みしながら)あまりたわみませんね。言われなければ、普通の床と区別できません。

速水:コンマ1mm程度の振動があれば、最低限発電は可能です。道路はもともとそれ以上揺れていますから。振動を抑制する効果はあっても、振動が増えることはありません。

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プロフィール

1970年生まれ。雑誌編集者を経て、フリーの編集者・ライターとして独立。ネットカルチャー・IT・環境系解説記事などで活動中。『進化するケータイの科学』、『弾言』(小飼弾氏との共著、アスペクト)、『マグネシウム文明論』(矢部孝教授との共著、PHP新書)など。ブログは、こちら

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