yomoyomoの「情報共有の未来」

内外の最新動向をチェックしながら、情報共有によるコンテンツの未来を探る。

WWWからGGGへ?

2007年11月28日

今月15、16日に Web2.0 EXPO Tokyo が開催されました。光栄にもオライリー・ジャパンの方にお声をかけていただいたのですが、それどころではない状況のため参加できなかったのは至極残念です(これは社交辞令はありません。だってまともに参加したら参加費に10万円近くかかったのですから!)。

ティム・オライリー自身、西村博之氏との対話の中でカンファレンスビジネスにフォーカスしていることを認めていますが、Web 2.0 というバズワードを中心に据えたイベントビジネスも堂に入ってきた感じです。つくづくこのネーミングは上手かったと痛感します。

Web 2.0 という言葉がこれだけヒットし、そして必然的に陳腐化するとなると、「ならその次の Web 3.0 は何なんだ?」という話もブロガーの話題のタネとして定番化しています。

本家(?)オライリーは、以前から「Web 3.0」の話になると、まだそれを話すのは早い、と口が重くなったり投げやりになったりするのが常で、ワタシはそれは彼がまだまだ Web 2.0 を引っ張って商売をしたいからだろうと書いて顰蹙を買ったことがあるのですが、実際「次の段階」がぽんぽん実現されるわけがないのも事実です。

彼は Today's Web 3.0 Nonsense Blogstorm というブログエントリで、著名ブロガーが安易に Web 3.0 を騒ぎ立てること、特に自分が出資なり参画しているスタートアップの技術に話を誘導する形で Web 3.0 を語ることに警鐘を鳴らしています。ただその彼も他人の文章を引用する形で、自身が出資し、役員も務めるウェブ会計ツールのスタートアップ Wesabe の名前を巧妙に盛り込んでいるんですが……

ワタシのような性格の悪い人間の邪推はともかく、何をもって Web 3.0 なのかという話になると、セマンティック・ウェブや三次元ウェブといったあたりが候補に上ることが多いようで、そのあたりは Wikipedia の Web 3.0 のページ、そしてその変化を追うのがよいでしょう。

今年における Facebook の躍進、そしてそれに平行して話題となったソーシャル・グラフ(Social Graph)というミームについては、本ブログでも This Year's Model で取り上げました。最近になって World Wide Web の父であるティム・バーナーズ=リーが、Giant Global Graph という注目すべきエントリをブログに書いています。

このエントリではアル・ゴアがかつて National Information Infrastructure(NII)を推進しようとしたが、ネットは世界的につながったので International Information Infrastructure つまり III になったんだね、という小ネタが盛り込まれており、タイトルの Giant Global Graph で G で始まる単語が三つ連なるのもその III や WWW にかけたものです。早速ニック・カーに「WWWよさようなら。こんにちはGGG」と茶化されていますが、中身は真面目な文章です。

バーナーズ=リー卿はネットを3つの段階に分けています。第一段階がコンピュータをリンクしたインターネット、第二段階がドキュメントをリンクしたウェブ、そして来るべき第三段階が人々とドキュメントの関係をリンクするグラフ、というわけです。

注目すべきは、彼が Social Graph の概念を長年取り組んできたセマンティック・ウェブに結び付けていることです。この視点は Alex Iskold が書いていた構造化ウェブの話にも接続できますし、何より以前からずっと一定の注目を集めながら、例えば Web 2.0 のような爆発的な盛り上がりを見せることがなかったセマンティック・ウェブ技術普及の突破口になるかもしれません。

しかし……とここでワタシは立ち止まります。「ウェブ」の次が「グラフ」だとして、コンピュータ、ドキュメントに留まらずその人、並びに他の人との関係性が容易に可視化され、明快に切り出されて再利用されるようになったとき、ワタシのような人間のネットにおける居場所はますますなくなっていくのではと思ったりしました。

これは現在の忙しさのためワタシの心が弱っているだけかもしれませんが、できるだけ息長くテンションを保ってウェブで雑文書きが続けるという当方の目標と自分の立ち位置が本格的に折り合いがつかなくなる日もそう遠くないのかもしれません。

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プロフィール

1973年生まれ。 ウェブサイトにおいて雑文書き、翻訳者として活動中。その鋭い視点での良質な論評に定評がある。訳書に『デジタル音楽の行方』、『Wiki Way』、『ウェブログ・ハンドブック』がある。

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